作ろう、遊ぼう、調べよう

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「春の宝探し」ネイチャーフィールドゲーム 

いのうえ りさ

寺子屋ドルトムントの春の活動を紹介します。

5月初旬の春に日に、寺小屋の子供たちと春の「フィールドゲーム」を行いました。題して「春の宝探し」。「フィールドゲーム」はネイチャーゲームの一つで、五感を働かせて、自然の中にある様々なもの(宝物)を見つけ、ビンゴを完成させていくゲームです。

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 「今日は、みんなで春の宝探しに行くよ!」とダンボール紙を台紙にした16マスのお題カードを配ると、「なにこれ?…あ、わかった!」とフィールドカードを覗き込んで、描いてある絵から想像を膨らませます。「これは?ふわふわ?やわらかいものってこと?」と自分の中の情報とお題を照らし合わせて考える子もいれば、「これ、なんだぁ?」と何となく眺めているだけの子まで様々です。《ちくちくする》の欄を指さして、「これは、トゲトゲ?」と聞く子がいます。「そうだね《ちくちく》でもトゲトゲでも、どちらでも良いね!」と自由発想の子どもから、捉われない思考の重要性を教えられつつ、お題について細かく皆で確認。生き生きとした目を私に向けて「はやく、いこうよ!」と、どの子もやる気満々。台紙カードと鉛筆、宝物を入れる空箱を持っていざ出発!住宅街を少し抜けて散歩道に入りました。

🍃五感を使って自然と触れ合う 発見だらけの1時間

 外はあいにくの小雨。湿った空気と濡れた道から立ちのぼる雨の匂いがします。幸運にも雨雲が薄くなり、辺りが白ばみはじめました。子どもたちは道端に生えている植物などに目を向けて歩いて行きます。散歩道は草が生い茂って緑一色。15センチほど伸びた草に、五月の春の深まりを感じます。子どもたちは地面までの目線が近いだけあって、一早く色んな物を見つけます。

 「見てみて、ナメクジ〜!」と雨上がりの歩道を這うナメクジに大興奮。「あ、白い花見つけた!」「ハートの形、見つけた!」と誰かが何かを見つける度に「どこどこ?」と他の子も競うように声の主へ駆け寄ります。ある子が「ツルツルしたものが見つからない」と話していると、その後足元の小さな水溜りを見つけて、「みずも、ツルツルだよね?」と想像を膨らませています。また、小学生の子は、「自分の手より長い葉っぱはあるけど、大きいのは見つからない!」と言いながらも、あきらめずに探し続けます。

 小さな森へ入ると、宝物がいっぱい!ツルツルした木の幹、そこに張り付いた三角に尖った殻のカタツムリ、フワフワのたんぽぽの綿毛、ハート形の赤い葉っぱ、遠くから微かに聞こえる鳥の鳴き声、匂うようで匂わない小さな白い花、風が吹く度に聞こえる木々のざわめき。約1時間、夢中になって探します。その間中、「見てみて!」「見つけたー!」と、元気な声が辺りに響き渡っていました。

🍃見つけたよ、最高の宝物!

 この間、子どもたちは様々な情報を目や耳を使って集め、手や肌で触れて鼻で匂い、全身で自然と親しみました。まだ平仮名が書けない子は、風の音を感じたまま表現しようとうず巻きを描き、文字の書ける子は、自分の見たことや感じたことを言葉にして記録していきます。外の限りのない空間の中で、自分自身とも向き合える、ゆったりとした時間です。これは、現代を生きる子どもたちにとって、とても必要な時間だと感じます。

 普段何気なく見ている景色や物も、このように何か目的を持って歩いてみれば宝の山!五感を通じて自然と触れ合い、意識的にとらえることで、他者の認識との相違や類似に気がつきます。同じ物でも見方によっては全く違う形や色に見えたり、人によっては聞こえる音の表現が異なったりします。しかし、そこに正解はなく、《色んな捉え方があっていいんだ》と気づくことや、人間も動物も植物も、この地球上で生きている同じ生命体だと気づくこと、それを感じられることこそが「宝物」ではないかと私は思います。そして、それを共感できる仲間がいることも、それに気づくことができる自分も宝物!

 活動から戻って、空き箱の中のお土産を見てみると、そこには子どもたちの宝物が一杯詰まっていました。既に萎れかけた黄色い花も、思いがけず箱に侵入した小さな虫も、小さな石ころも、ギザギザの葉っぱも立派な宝物です!

 是非、自然と触れ合う時間を作って、当たり前じゃない体験の中で、「自分だけの宝物」、そして、本物の豊かさを見つけてください!

【写真提供】筆者(上から順に)

① 見つけた白い花。匂いは独特。/②「春の宝探し」お題カード/⓷ 散歩道の脇を見ながら森へ向かいます。
④ すべすべの木と三角かたつむりを発見!/⑤ お題カードに見つけたものにシールを貼っていきます。/⑥ 集めた宝物はとても愛おしい。

 

いのうえ りさ (INOUE, Risa) 

声楽を専門に学び、ドイツへ留学。日日家庭、二男児の母。12年前より仲間と共に寺子屋ドルトムントを始め、継承日本語活動を本格的に開始。幼児教育を実践的に学びつつ、日本語だけでなく日本の童謡や童歌、伝統行事を伝える活動を行う。22年より二代目寺子屋を主宰。現在、デュッセルドルフバイリンガル補習授業校、デュースブルク日本語学校でんでんむし講師。趣味:物作り、自然散策。好きなものは「笑顔」と「子供の笑い声」☺(プロフィール画像は寺子屋の子供が書いた絵葉書より)

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