2022年3月1日
【PIOTROWSKI Keiko】ドイツの児童館(Elternschule)で日本語クラブ「みんなで遊ぼう」を企画されているピオトロフスキ恵子さん。今回は二児の母でもあるピオトロフスキさんにインタビューしました。
「ちょっとみんなにシェアしたい」教室での活動を教えてください!
みんなで一緒にできるのは、やっぱり歌です。主に季節の歌、みんなが知っているような歌を選んで歌っています。準備してきた歌の後に、みんなに何がいいかを聞いて歌ったりもします。「これ歌いたい」「私これがいい」という声があれば、その場で「じゃあ次はそれ歌いましょう」って臨機応変に歌っています。
大きい子はきちんと歌えるので率先して歌ってもらい、赤ちゃんは「ふんふん♪」って感じです。児童館にはマラカスやタンバリンがあるので、たまに出して使ってみたりします。一番人気は「グーチョキパー」ですね。最近は「グーとグーでドラえもん」とか「パーとチョキでラーメン」とか、私が子どもの時にはなかった新しい発想があって楽しいです。
親一人では歌わないけど昔から歌われている歌、「あったねそんな歌!」と思ってもらえる歌が好きで、子ども達にもたくさん紹介したいと思っています。「焼き芋の歌」、「お弁当歌」「ひげじいさん」など、手遊びがついた歌は必ず準備して行ってます。手遊びがない時は、パラバルーン(Schwungtuch)を使うんですが、ご存知ですか?カラフルな丸い、直径3、4メートルぐらいの円状の布で、その円周上に手で持てるところが付いています。それを子ども達が一人一つ持って引っ張って揺らして遊びます。夏だったら「海の歌」を歌いながら布を上下に動かして「波みたに揺らしてみよう」とみんなで大きい波や小さい波を作って遊びます。
実際にやってみて、子どもたちはどんな様子でしたか?
パラバルーンはとても人気で、歌の時に棚から出すと「あーあれが来た!」って言われます。布が大きいと結構力がいります。ちゃんと立てる子どもたちであればみんなで布を持ち上げられますが、保護者の皆さんにお手伝いいただくことも多いです。大きい子だけだったら、カラーボールを布の上に置いて飛ばして遊んだりしますね。小さい子はふわーっと布を盛り上げて作った大きいドームの下を「わぁー!」と言って走り抜けて遊びます。小さい赤ちゃんは、保護者の皆さんが波状に動かしている布の上に座ったり、フワフワと動かしている布の下に寝転がって、カラフルな布がハタハタ動いている様子を楽しそうに眺めて触ろうとしたりします。初めて見る光景にときどき泣き出してしまう子もいます。反応は色々ですが、大人気で楽しいです。(写真提供:デュースブルク日本語学校でんでんむし)
親子で何かをやりたいと思っている方へのメッセージをお願いします!
国際家庭の子どもたちはどうしても在住地の言語がより強い母国語になっていきます。我が家も幼稚園に通い始める前までは日本語の方が上手でしたが、幼稚園に入ってからあっという間に逆転しました(泣)。だからこそ、赤ちゃんの頃から日本人のママ友、パパ友を持つことは大事だと感じています。まだ日本語でコミュニケーションが取れない赤ちゃんでも、親同士の楽しい日本語の会話は日本語に触れる大事な機会です。赤ちゃんの頃からのお友達とはドイツ語が堪能になった今でも日本語で会話しようとしてますし(最近ではときどきドイツ語が出てますが笑)、日本語が上手なお友達からは(親も)とても刺激を受けます。親同士の日本語コミュニケーションネットワークは子どもの日本語コミュニケーションやモチベーションとしても広がっていくと思いますので、子どもたちと一緒にどんどんママ友パパ友とおしゃべりしていただきたいと思います。
ピオトロフスキ恵子さん
在独20年、ハンブルク大学卒、日本語講師。結婚・出産後、継承語としての日本語のあり方を模索中。日本語を話す親子のための「みんなで遊ぼう」を企画運営。
(取材編集 チーム・もっとつなぐ)