作ろう、遊ぼう、調べよう

作ろう、遊ぼう、調べよう

親子の対話をうながす「空想ゲーム」

山本知佳

第二回目は、複言語のご家庭で10歳と8歳のお子さんを子育て中の山本知佳さんにお話を伺いました。

「ちょっとみんなにシェアしたい」おすすめの活動を教えてください!

うちでは赤ちゃんの頃から、本の読み聞かせをしてたんです。やってるうちに、自分だったらどうするか、っていう話を空想ゲームみたいにしてやり始めました。対話を通して、日本語を引き出せる時間になるようにしています。

例えば、『銭天堂』*というお菓子屋さんが舞台の本を読む時は、「じゃあ、○○だったらどんなお菓子が欲しい?」と聞いて、思っていることを言えるようにしています。もちろん、言えない言葉があったり、文章が間違ってることもあるんですが、「それってこういうこと?」と聞き返したり、「じゃあ、ママだったらこうするかな」って子どもが言いたいことを日本語で言ってみて「思い出して言えるかな?」と言ってみます。そうすることで、教えずに気づかせることができるので、子どもたちの「できる」気持ちを養ってあげられます。最初はおやじギャグが全然分からなかったんですが、『かいけつゾロリ』**を読むうちに、「僕、今からおやじギャグ言うよ」なんて言うようになりました。

*(参考)本の情報 | ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 公式サイト

**(参考)かいけつゾロリシリーズ|本をさがす|ポプラ社

空想ゲームをするようになったきっかけはありますか?

イギリスで買った、文字なし絵本『JOURNEY』***です。その本を読む時、うちの主人は英語で、私は日本語で「ここにこんなのがあるね、この子はこれに乗っていくけど、これからどうなるんだろう?」って対話しながら使っていたんです。そしたら、子どもたちが「パパの話とママの話は少し違う」と気づき始めたんです。子どもたちも「あ、じゃあ、もっとこうしたらいいのかな」とか「これはこういうことなのかな」とか「こっちでもなにかできるね」って、少しずつ空想しながら自分でお話を作るようになりました。それで他の絵本でもやり始めたんです。お母さんとの本読みの時間も、お父さんとの時間も同じぐらい大切だと思っています。

***(参考)Aaron Becker » JOURNEY

親子で何かをやりたいと思っている方へのメッセージをお願いします!

読んだ本を元に、母の日に絵本を作ってくれました。

何をしたらいいか悩むことがあるかも知れませんが、子どもたちは親が自分達にゆっくり向き合ってくれていると安心して幸せを感じると思っています。ケータイは横に置き、30分でもいいので、本を読んだり「○○くんだったらどうする?」と一緒に向き合う時間を作ると、自然に子供も言葉や会話に集中してくれて、理解が深まり、嬉しいと思いながら色々できるようになっていきます。子どもたちが日本語の時間をお父さん・お母さんとの大好きな時間と感じてくれたら、大成功だと思います!

(写真:読んだ本を元に、母の日に絵本を作ってくれました。)


山本知佳(Yamamoto Chika)さん
大阪外国大学日本語学科卒。家庭では英語と日本語、子供たちは学校でドイツ語と英語が主な、複言語・複文化家族。ベルリンでは日本語キャンプを主催していたことも。MHB学会海外継承日本語部会メンバー。

(取材編集 チーム・もっとつなぐ)

最新のエッセイ