「複言語・複文化主義」とは何ですか?

ヨーロッパの欧州評議会が推進している言語教育政策の背景にある理念です。

一人ひとりが複数の言語や文化を自分自身の中に取り入れ、状況や相手によって異なる言語を使い分けたりして、持っている知識やスキルを総動員してコミュニケーションをとろうとすることに焦点が当たっています。

つまり、個人の中にある複数の言語や文化や経験などが、相互に関連し合ったり、補い合ったりしながら一つの「その人のことば(の総体)」として存在しているという考え方です。

そして、一人ひとりがもつ、ありのままのことばを肯定的に捉え、他者にも同じようにその人にしかないことばがあることに気づき、お互いに尊重しあう姿勢を育むことも大切だとされています。また、少数言語であっても全ての言語に同等の価値があり、全ての人にいかなる言語も学ぶ権利があることが指摘されています。

このように、複言語・複文化主義のもとでは、ことばの学びを通して、自分とは異なるものを受け入れ、尊重する寛容な「姿勢」と、自分を含めたすべての人の中に存在する言語と文化の複数性を肯定的にとらえる「態度」を育むことが目指されています。

※欧州評議会とは、人権、民主主義、法の支配等の分野で活動している国際機関です。