2026年1月28日
【各国各地版レポート】「わたし語ポートフォリオ」オーストラリア版 第2版公開!
豪州繋生語研究会(Australian Network for Japanese as Community Language)より、オーストラリア版「わたし語ポートフォリオ」第2版がオンライン公開されたとの嬉しいニュースが届きました!(つなぐ編集部)
豪州繋生語研究会は、2021年夏に国際交流基金シドニー日本文化センターと協力し、「オーストラリア版『わたし語ポートフォリオ』」を作成しました。「わたし語ポートフォリオ」(以下、「わたポト」)は、親子が家庭でいっしょに取りくむ「ことばの育ち」の記録帖、そして「親子の対話」をうながすワークブックです。「わたし語」とは、一人ひとりが自分の中に持っている複数の言語レパートリーの総体のこと。「わたし語」の中には、家庭で話す言語、居住している国や地域で使う言語、学校で使用したり新たに習得したりしている言語、方言や位相語などさまざまな「ことば」が共存しています。
「わたポト」は、元々ドイツの〈チームもっとつなぐ〉が欧州言語ポートフォリオ(European Language Portfolio, ELP)を参考に開発・制作したもので、2021年3月からポータルサイト「つなぐ」で一般公開され、ご登録いただくと無料ダウンロードができるようになっています。元のドイツ版には、日本語を使わない家族のメンバーも取りくめるよう、見出しや声かけ文が簡単なドイツ語で記載されています。
そうしたドイツ語部分を翻訳するだけでなく、それぞれの文化や社会に合わせて内容を書き換え「言語と文化の翻訳」をほどこした「各国各地版」が、2021年から2025年末までにオーストラリア、フランス、アメリカで作成されています。また、2026年にはニュージーランド版も登場予定で、こちらはマオリ語も交えたニュージーランド英語とともに、南半球やニュージーランドの文化に特化した新しいページが加わります。
豪州繋生語研究会では、2021年のオーストラリア版初版制作段階から、「わたポト」に登場するキャラクターたちの話し方や文末表現を修正することで、本質主義的なメッセージ(国家、人種、性別などに不変的な性質があるという考え)が子どもたちに伝わらないよう、細かく丁寧に編集作業を進めてきました。今回も必要な改訂を反映させ、同研究会のホームページで第2版が公開され始めました。ぜひダウンロードページをご覧ください。

また、同研究会では2024年より「わたポト」を活用した対面型ワークショップを実施しています。2024年9月から11月にかけてシドニー、アデレード、パースの三都市で開催されたワークショップの詳細は、こちらにてご覧いただけます。2026年2月には、キャンベラとメルボルンでコミュニティーランゲージ校や図書館を会場に、児童・保護者・教師を対象としたワークショップの実施が予定されています。さらに、将来的には都市部にとどまらず、日本語話者が少ない地方(日本語過疎地域)へのアウトリーチ活動も計画されています。
南半球オーストラリアの大地では、子どもたちの「『わたし語』の中の日本語」がかれらの人生を豊かにする「繋生(ケイショウ)語」として、ひまわりが大地に根をはりやがて花を咲かせていくように、ゆっくりと大切に育まれています。

🌻「繋生(ケイショウ)語」という表現について詳しくお知りになりたい方は、オーストラリア繋生語研究会会長のトムソン木下千尋氏によるインタビュー音声をご参照ください。
🌻 オーストラリア版「わたし語ポートフォリオ」に関するお問い合わせは、豪州繋生語研究会までご連絡ください。【keisho.australia (at) gmail.com】