チーム・もっとつなぐ

【2021年8月8日開催】オンライン発表「親子で取り組む『わたし語ポートフォリオ』」の提案

●発表セッションに参加しました(MHB学会2021年研究大会)

8月7日、8日に、母語・継承語・バイリンガル(MHB)教育学会の2021年研究大会が開かれました。今年のテーマは『ファミリー・ランゲージ・ポリシー(FLP)と新時代におけるマルチリンガル教育』でした。個人と社会をつなぐ集団の最小単位である「家族」に焦点をあてた同大会には、FLP研究第一人者のKendall A. King博士(ミネソタ大学)による基調講演をはじめ、専門家によるパネルセッションやワークショップ、会員による30件近い発表セッションがありました。

チーム・もっとつなぐも、『わたし語ポートフォリオ』の目的と構成、内容について発表しました。その際、7月末から本サイトで公開されている各国版(オーストラリア版とフランス版)についてもふれ、各国の状況に合わせた現地化・文脈化の事例を紹介しました。

発表後の交流会では、日本在住の外国人児童の母語支援や日本語学習のサポートにも、この親子で取り組む『わたし語ポートフォリオ』のコンセプトとアプローチは応用できるだろうと肯定的なコメントが寄せられました。ヨーロッパで生まれた「複言語(plurilingual)」という考え方を軸にした同ポートフォリオが、今後いろいろな国や地域のご家庭のニーズに合わせて、変容と進化をかさね息づいていってくれることを願いながら、大会発表を終えました。

●『わたし語ポーフォリオ』をFamily Language Policy(家族のことばの方針) づくりの一助に

みなさんのご家庭では、どのようにことばを使っていますか。家庭内には、ドイツ語、日本語、そして方言も含めたさまざまな言語が共存しているかもしれませんね。

ここで少し普段の生活における言語使用状況に思いをめぐらせてみてください。お子さんは日々、どんなことばを、誰と、どんな時に使っていますか。そして、それぞれの場面で、どうしてその言語を使うのでしょうか。例えば、お子さんたちにとって、日本語はどんな意味をもっているでしょうか。同じように、大人のみなさんには、どんな言語使用のパターンが見られるでしょうか。それはお子さんや他の家族のメンバーと何が違っていて、何が同じでしょうか。

こうした「ことば」をめぐる親子の対話の場づくり、ひいては「家族のことばの方針」を考える土台づくりに、『わたし語ポートフォリオ』を役立ててもらえるのではないか…。発表を終えた今、そんな期待と可能性を感じています。

これからも「家族のことば」や「わたしのことば(わたし語)」について、本サイトの〈わたし語の広場)コーナー等を通して、みなさんと一緒に考えていければ幸いです。